免疫性神経疾患とは?その特徴と身体機能促進方法・注意点

作業療法士 中根 麗名

免疫性神経疾患とは?

脳・脊髄・末梢神経(神経筋接合部を含む)に対する自己免疫の異常により引き起こされる病気が免疫性神経疾患と呼ばれています。

代表的な疾病は多発性硬化症、重傷筋無力症、ギラン・バレー症候群など、いずれも長期的に向き合うことの多い疾患であり、いかに疾患や障害とうまく付き合っていくのかが課題となっています。

免疫性神経疾患の特徴は多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群の3つ

多発性硬化症・・・多発性硬化症は、中枢神経系の脱髄疾患の一つです。脱髄が斑状に認められ病気の再発を繰り返します。症状はどこに病変ができるかによって大きく異なります。

障害部位 症状
視神経 視力低下、視野が書ける、目を動かすと目の奥に痛みを感じる
脳幹部 物が二重に見える。目が揺れる、顔の運動や感覚が麻痺する、物が飲み込み辛い、しゃべりづらい
小脳 まっすぐ歩けない、手が震える
大脳 手足の感覚や運動の障害、認知機能の低下
脊髄 身体に帯状のしびれ、びりびりした痛み、手足のしびれや運動麻痺、排尿・排便障害

重症筋無力症・・・末梢神経と筋肉の継ぎ目(神経筋接合部)で、筋肉側の受容体が自己抗体による破壊される自己免疫疾患です。重症化すると呼吸筋の麻痺を起こし、呼吸困難を起こすこともあります。

分類 症状
眼筋型 眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすい
全身型 全身の筋力低下、易疲労性が出現、嚥下がうまくできなくなる場合もある

ギラン・バレー症候群・・・末梢神経障害(神経細胞にある軸索と呼ばれる部分を取り囲む髄鞘という部分に障害がおこること)による、四肢および脳神経領域の運動麻痺の起こる疾患です。急速に発症し左右対称性の四肢筋力の低下と腱反射の消失が見られます。4週間以内に症状はピークとなり、その後病態は沈静化して回復に向かいます。

身体機能促進方法と注意点

多発性硬化症

運動 病巣によってあらわれる症状が異なるため、運動プログラムも異なる。
また経過時期(急性期・回復期・慢性期)により提案内容は変更される
参考:http://www.tahatuseikoukasyo.jp/
注意点 易疲労性のため負荷量を考慮、体温上昇時に一時的症状の悪化がある。
過度な負荷を避け、室温に注意する必要がある。日内変動あり。

重症筋無力症

運動 ①筋力強化訓練:廃用予防
②有酸素運動による持久力トレーニング:歩行・自転車エルゴなどを使用
③生活指導:日常生活が負荷とならないように周囲からの理解を進める
注意点 易疲労性のため負荷量を考慮。疲労度合を詳細に確認し、運動負荷量を決定する。
筋力強化の効果を出すには日内変動(とくに夕方に増悪)を考慮し午前中に行う。

ギラン・バレー症候群

運動 ①関節可動域訓練及び筋力強化訓練:廃用予防
②呼吸管理:呼吸機能維持・改善のための呼吸筋ストレッチと胸郭の可動性改善
注意点 筋肉委縮により末端まで神経が再生されにくくなる恐れを避けるため早期に運動を開始する。
過度な負荷や過度な伸展による筋の損傷を避ける

身体機能を高めることの意義と期待される効果

いずれの疾病においても

  • 身体機能や運動機能、生活動作の維持・改善が期待されます
  • 運動自体が気分転換や目標達成につながり、自信・満足感を得ることで精神安定を促します
  • 社会とのかかわりから役割を得、存在意義を見出すことで「その人らしさ」を再獲得します
  • 疾病を受容し疾病によるショウガと向き合うことでQOL(※)の維持・向上につながっていきます

※QOL(Quolity of life)・・・「生活の質」「生命の質」と訳され、 患者の状態をはかるための指標のひとつ。 QOLは高低によって表され、患者の「活力」「生きがい」「満足感」などが判断のポイントとなる。